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院長コラム

稲美町有線放送「歯と全身疾患」

この文章は以前、稲美町有線放送で放送されたものです。

今回は歯と全身疾患についてお話します。
全身に起こる病気の中には、原因がわからないために、多くの病院や診療所を受診しなければならないものがあります。
でも、たまたま歯の治療を受けたところ、今まで治らなかった病気が良くなったということがあります。
このような病気には歯科疾患 つまり虫歯、歯周病が関係しているためです。
普通では、まさか自分の病気の原因が口の中にあるとは思わない方が多いと思います。
でも意外に多く、口の中の病気が全身に悪い影響を及ぼしていることがあります。
今回は、歯周病と肺炎、糖尿病についてお話します。
まず、歯周病と肺炎の関係についてですが特に誤嚥によって起こる、誤嚥性肺炎についてお話します。
口の中には数千億の細菌がいます。
口の中の清掃状態が悪いと、細菌を含んだ唾液やたべものが食道から胃ではなく、誤って気管から肺へ入ってしまい、肺炎を起こすことがあります。
これを誤嚥性肺炎といいます。
肺炎を起こす細菌は気管を通って肺にいき、炎症を起こします。
気管に異物が入りかけると、普通では反射的に咳をすることによってそれを防ぎますが高齢者だと吐き出す力が弱い場合や、むせることもなく、気管に流れ込んでしまうことがあります。
誤嚥は身体に麻痺のある方、歯の本数が少ない方では頻繁に起こります。
特に、唾液の中に多くの細菌が含まれている歯周病の患者さんは、非常に誤嚥性肺炎になりやすので気をつけなければなりません。
また、入院患者さんに誤嚥性肺炎が多く発病するのは、入院生活によって歯磨きが不十分になることが関係していると思われます。
このようにならないためには、歯や舌についた、食べかすや汚れ、細菌のかたまりである歯石をとったり、虫歯の治療が重要です。
また、吐き出す力が弱っている高齢者の方は誤嚥を起こさないように、飲み込みの練習である、嚥下訓練も必要だと思います。
次に歯周病と糖尿病についてですが糖尿病は糖を消費するために必要なインシュリンの量が不足することによって血液中の糖の値(血糖値)が高くなる病気です。
糖尿病は大きく分けて生活習慣に関係なく若年者に起こるⅠ型と生活習慣に大きく関係するⅡ型に分けることができます。
Ⅱ型は生活習慣病とも言われる様に運動習慣や食生活が関連しています。
歯が無くなり柔らかい糖質の多い食べ物をとり続けると血液中に糖が増え、糖尿病になる確率が高くなります。また肥満の人にも起こりやすいといえます。
いったん糖尿病になると感染への抵抗力が低下し他の病気にもなりやすくなります。
また、口の中では歯肉の血管が弱り、感染に抵抗する力が弱くなることにより歯周病が進行します。つまり糖尿病の人は歯周病になりやすく、また逆に、歯周病の人は糖尿病になりやすくなります。
また糖尿病の人は歯周病がひどい状態になることが多いですし血糖コントロールが良くない人も歯周病がひどくなります。
進行した歯周病がある人ほど血糖コントロールが悪化しやすく、いろんな合併症の発病率が高いと言われています。
口の中の状態、虫歯や歯周病はこの他にも多くの全身的な病気に関係しています。
歯周病の予防や治療では「歯をしっかり磨く」ということが非常に重要です。
歯周病は成人の約8割以上の方がかかっている病気です。原因は歯こうや歯石に存在する細菌とそれらが作り出す物質(毒素)によるものです。しかもそれらは口の中だけにとどまらず、全身に影響を及ぼすこともあります。
口の中を清潔に保ち、虫歯は早期発見、早期治療をするためにも定期的に口の中の検診を受けてください。
また、このことが、全身的な病気の予防にもつながると思います。